☆ダウン症の基礎知識☆
☆ダウン症の基礎知識☆
上地玲子著:「ダウン症児ハンドブック」より抜粋。
<目次>
【1】ダウン症とは
【2】ダウン症の原因
【3】ダウン症の種類
【4】身体的特徴
【5】性格
【6】体質
【7】知的発達の遅れ
【8】合併症
【9】発達
【1】ダウン症とは
1866年にイギリスの医師、J.ラングドン・ダウンという医師が
最初にこの症候群について研究論文をまとめました。
その人の名前を取って「ダウン症」と呼ばれるようになりました。
ダウン症は、染色体が通常より1本多いことにより、知的発達の遅れや、
心臓疾患などの合併症を伴うこともある先天性の症候群です。
21番目の染色体が1本多いタイプがほとんどなので、「21トリソミー」と
呼ばれることもあります。
まれに、他の染色体が1本多いタイプや1本少ないタイプもあります。
【2】ダウン症の原因
1959年にフランスのレジェーヌによって、ダウン症児は何らかの原因で
染色体が一つ多いことが分かりました。
およそ1000人に1人の割合で生まれています。
ほとんどが偶発的に起こる染色体のエラーによるものです。
染色体のエラーが起きる確率は、母親の年齢が上がると高くなると
言われています。
しかし、ダウン症児の85%は35歳以下の母親から生まれており、また、
染色体のエラーが父親に由来する場合もあると言われていて、はっきりとした
原因は分かっていません。
【3】ダウン症の種類
標準型21トリソミー:約95%
21番染色体が1本多いものです。
モザイク型:約1%
21トリソミーの細胞と正常な細胞が混じり合ったものです。
ダウン症特有の身体的特徴は軽微になります。
転座型:約4%
21番染色体が他の染色体にくっついてしまうことにより生じます。
(一部の片親には転座染色体保因者がみられます)。
身体的特徴は、21トリソミーと同じです。
【4】身体的特徴
目がつり上がっていたり、鼻が低かったりして特徴的な顔立ちを
しているために「親には似ていない」と偏見を持たれがちですが、
多くのダウン症児と接していると、親に似ていることが分かります。
その他、筋緊張の低下、低身長などの特徴を持ち合わせています。
【5】性格
人なつっこくて、おだやかで、明るい性格といわれる反面、
がんこでわがままだと言われます。
環境の影響にも左右されるので、子どもの良い面を伸ばせる
ように働きかけることが大切です。
【6】体質
ダウン症児は、「障害」というよりも「体質の問題」ととらえることができます。
アレルギー体質、アトピー性皮膚炎などと同じように、ダウン症という
体質を持っているといえます。
合併症を伴っていても、医療・生活・教育面での配慮により、普通に
生活することができます。
【7】知的発達の遅れ
ダウン症児は知的な発達がゆっくりです。
しかし、スモール・ステップで指導するなど教育面に配慮することで、
発達が促進されることも知られています。
視覚優位なので模倣が得意です。
健常児と交流をすることにより、できることが増えてきます。
しかし、周りとの調整も重要です。
健常児と同じようにはできないことが多いので、保育者が間に
入って関係を調整したり、課題を段階的に設定したりすることが
ポイントです。
「できる体験」を積み重ねることが、やる気を引き出し、
知的発達を促進することにつながるのです。
【8】合併症
合併症が全くない子どももいますが、約50%は心臓疾患があります。
食道閉鎖、鎖肛、十二指腸閉鎖などを伴うこともあり、生後すぐに
手術することもあります。
眼科系では、斜視、白内障、屈折異常(近視、遠視、乱視)などがあります。
就学までには検眼をして、めがねなどで視力を確保することが必要です。
耳鼻科系では、外耳道閉鎖、中耳炎、鼻炎などがあります。
耳管が細いために滲出性中耳炎を起しやすく、必要に応じて
鼓膜切開やチューブを入れることもあります。
その他、内分泌系では甲状腺機能異常を伴うことがあり、投薬治療を行います。
【9】発達
ダウン症の発達はゆっくりです。
健常児の約2倍の時間がかかると言われていますが、
発達段階は同じです。
また、発達の早さは、子どもごとに大きく異なります。
筋緊張の違いや合併症などにも影響されます。
次ページにある図1・2※は、健常児との比較をしたものです。
そこにも書かれているように、ことばが出るようになるのは、
健常児の場合は1歳半頃ですが、ダウン症児の場合は2~3歳
であり、子どもによって幅が大きいのです。
※図はハンドブックをご参照下さい。
☆上記「ダウン症の基礎知識」の掲載元である
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